革製品のケアグッズに特化した記事はたくさんありますが、なぜ革にはケアが必要なのかについて解説したものは少ないです。しかし、適切なケア方法を見極めるには、革やオイルの特性をよく知る必要があります。
そこで、専門用語を使いつつ、できるだけわかりやすく解説してみました!
内容が詰まった記事なので、もしお時間のない方・結論だけを知りたい方はポイントだけ読んでください。
そもそも革の構造って?
革は元々動物の皮膚です。そのため、革の元々の構造は、基本的にわれわれ人間と同じです。しかし、皮から革になる工程で構造が変化します。
ざっくり言うと、表皮と皮下組織がなくなって真皮層のみになります。スキンケアが好きな方は聞きなじみがあるかもしれません。
真皮層には、毛孔・毛根やコラーゲン、タンパク質などがあります。他にもいろいろありますが、革を見るうえではそんなに重要じゃありません。
真皮層だけになった皮は、鞣し(なめし)という工程を経て革に生まれ変わります。なめしとは、天然の皮の状態を維持するために、内部のコラーゲンとさまざまな成分を結合させて安定化させる技術です。なめしをしないと、革が腐敗したり硬くなったりしてしまいます。カビを防ぐために革の水分を10%になるまで脱水します。その水分の代わりに加えられるのがオイルです。
このなめしと呼ばれる工程は非常に重要です。なぜなら、革のケアとはなめしの作業を自分で行うことだからです。
革のケアに必要なものは?
革にはコラーゲンとタンパク質が含まれています。そこにダメージが入ったり乾燥が進んだりすると、ひび割れや硬化が発生します。それを防ぐには、定期的なオイルの補給が大事です。お肌と同じです。
どんなオイルがいいの?
よくオイルが大事!保湿命!なんていいますが、オイルにはさまざまな種類・特性があります。その違いを理解していないと、自分の革アイテムに合ったケアができません。
オイルの種類
革に関するオイルは大きく分けて2種類あります。
- 油脂
- ロウ(ワックス)
【油脂】
油脂は動物・植物から採取した油です。液体と固体があります。
- 植物性油脂:オリーブ油、シアバター、ツバキ油、ヤシ油など
- 動物性油脂:馬油、ミンクオイルなど
こうした油脂の違いを見極めるには脂肪酸が大事です。
脂肪酸には、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸というものがあります。食品やスキンケアで見聞きしたことがあるかもしれません。
- 飽和脂肪酸:常温でも固体のまま。革になじみにくい
- 不飽和脂肪酸:常温で液体になる。革になじみやすい。酸化しやすい(劣化しやすい)
革の場合、よりなじみやすい不飽和脂肪酸のほうが相性がいいです(飽和脂肪酸だと、伸ばしにくく浸透しづらく、結果として油多めになってしまう)。
油脂はこの脂肪酸の割合で特徴が決まります。
試しに「馬油 脂肪酸 割合」と検索してみましょう。

オレイン酸とリノール酸は不飽和脂肪酸です。一方パルミチン酸は飽和脂肪酸です。
動物性油脂のほうが飽和脂肪酸が多いと言われています。馬油は、植物性油脂と比べると飽和脂肪酸が多いです。そのため、油を多めに入れたいオイルドレザーのケアに向いています。
オイルドレザーには動物性油脂!(ミンクオイル・馬油など)
一方で、植物性油脂は不飽和脂肪酸が多いです。
オリーブ油の脂肪酸を調べてみました。

オリーブ油は、80~90%程度が不飽和脂肪酸です。
植物性油は、常温でも溶けやすいため、少量の油脂でケアができます。そのため、スムースレザーなどに向いています。
スムースレザーには植物性油脂!(オリーブ油、シアバター、ツバキ油、ヤシ油など)
こうした油脂は、単に保湿するだけでなく、次のような効果があります。
- 内部の水分の蒸発を防ぐ
- 外部から水が入るのを防ぐ
- 革を柔らかくする
- 油性の汚れを溶かし込む
※少量の水をはじくことはできますが、水没は厳禁です。また、濡れたまま放置するとシミの原因になります。できるだけ早く水をふき取ってあげましょう。
注意点
不飽和脂肪酸は空気に触れたり紫外線を浴びたりすると酸化します。酸化してしまうと、異臭を放つことがあるので、気になる方はクリーナーなどで油脂を乳化・除去しましょう(もちろん、そのあとに保湿も行いましょう)。
【ロウ(ワックス)】
ロウは高級脂肪酸と高級アルコールからできたオイルです。「高級」がついていますが、別にお値段が高いわけではありません笑 炭素の数が多いという意味です。
ロウは自然界から採取できます。
- 植物性:カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバオイル
- 動物性のロウ:ミツロウ、ラノリン
意外ですが、ホホバオイルもロウなのです。無印良品のホホバオイルは冬になると固まります。これは、ホホバオイル(ロウ)の凝固点が油脂に比べて高いからです。
ロウは、油脂ほど馴染みやすいわけではないです。しかし、安定性が油脂に比べて高く、油脂ほどではないですがそこそこ馴染みます。油脂がデメリットに感じる方はロウを選んでみましょう。
油脂の酸化や馴染みやすさが気になる方は、ロウ(ワックス)!(ホホバオイル、ラノリンなど)
ロウにはこんな効果もあります。
- 光沢感が出る
- 抱水性がある
革靴に光沢感や艶が欲しい方は、ぜひロウを使ってみてください。
ツヤツヤな質感が好きな方も、ロウ(ワックス)!
まとめ
革のケアとは、革作りの工程である鞣し(なめし)を自宅で再現することです。なめしは革にオイルを与えて革の劣化を防ぎます。
オイルには油脂とロウ(ワックス)があります。油脂は革に馴染みやすい一方で酸化しやすいです。ロウは適度に革に馴染み、安定したオイルです。革の乾燥が気になる方は油脂・光沢感が欲しい方はロウを使ってみてください。

